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業務中や通勤時の事故によって怪我をしてしまったり、最悪の場合亡くなってしまうこともある労災事故。働いている方であれば、業種や職種にかかわらず当事者となる可能性があります。今回は自分のミスで労災が発生してしまった場合の扱いについて、弁護士の視点で解説していきます。
自分に過失がある場合の労災保険給付について
「本来行うべき安全確認を怠って怪我をしてしまった」など、自身の過失による労災事故では、労災保険が適用されるかどうか心配になるかもしれません。結論から申し上げますと、自身の不注意が原因である場合であっても、労災保険給付を受けることができます。
労災保険の詳しい内容については、こちらの記事で詳しく解説しておりますので、本記事では詳細は触れませんが、労働災害の要件さえ満たしていれば、業務災害、通勤災害のどちらも、自身に過失があるかどうかに関係なく、満額給付となります。
労災保険給付の例外について
ただし、以下に該当する場合は、例外的に労災保険給付を受けられなかったり、減額となったりする場合があります。
①故意により事故を発生させた場合
労災保険の給付を目的にわざと怪我をするなど、故意であることが明らかな場合、労災保険給付の対象外となります。
引用 労働者災害補償保険法第12条の2の2第1項
労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。②故意の犯罪行為もしくは重大な過失により生じた事故
労働者が故意の犯罪行為や重大な過失により怪我をした場合、労災保険給付を受けられなくなったり、減額となることがあります。
例えば、会社を放火して火傷を負ったり、飲酒運転で事故を起こしたなど、違法性や過失の重大さの程度に応じて全額もしくは一部を給付対象から除外されることがあります。
③正当な理由なく医師の指示に従わない場合
正当な理由がないにも関わらず、治療や療養に関する医師の指示に背き、怪我を悪化させたり治癒を遅らせるなど、治療の進行を妨げるような行為を行なった場合、労災保険給付の全額もしくは一部が支給されないことがあります。
自身の過失と損害賠償について
次に損害賠償請求について解説していきます。自身の過失や不注意で怪我をしてしまった場合でも、会社に対して損害賠償を請求できることがあります。労災における会社に対する損害賠償請求については、こちらの記事で詳しく解説しています。
一般的に労災における会社への損害賠償は、安全配慮義務違反を根拠として請求しますが、他者の過失による労災と比較すると、「自損事故であるため会社には責任がない」と会社が請求を拒否するケースが多いです。
安全配慮義務違反が問えるかどうかは、業種、作業内容、作業環境、被災者の地位や経験、当時の技術水準など様々な要素を総合的に考慮して判断されます。判断にあたっては、過去の判例や法的な知見などが必要になりますので、ご自身で判断せずに弁護士に相談することをお勧めします。
労災隠しは犯罪
ご自身の不注意で発生してしまった事故について「お前のミスだから会社は悪くない」などと、自身に過失があるという弱みにつけ込んで労災隠しを迫られることがあるかもしれません。こちらの記事でも解説しましたが、労災隠しは犯罪です。労災保険給付が受けられず、医療費が全額自己負担となるばかりか、労基署の調査が進めば、刑事事件として処理されて結果として会社にとっても大きな損害を与えることになります。労災隠しが疑われる場合、弁護士に相談しましょう。
自身のミスによる労災の相談は法律事務所Zへ
労災に遭われてしまったことで怪我の治療や痛みなど、ただでさえお辛い状況で、労災申請などの手続きはご負担となる作業です。ご自身の不注意や過失を責めてしまうお気持ちもあるかもしれませんが、どうかお一人で悩まずに弁護士に相談してみてください。私たちとしても、1人でも多くの給付を受け取る権利がある方に給付を受け取っていただき、皆さまの未来への不安解消と前を向くきっかけづくりをお手伝いさせていただきたいと思っております。会社との交渉や労災申請などの手続きは弁護士に代行してもらい、ご自身は治療や療養に専念なさってください。
当事務所は、東京、富山、金沢、福岡の全国に4拠点を構え、各分野のプロフェッショナルが多数所属し、専門性の高いサービスを提供する法律事務所です。ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
また、初回相談を無料で承っており、メールやLINEでのご相談も受け付けております。私たちの持てる知識と経験を活かして、みなさまの明日が少しでも明るいものになるように親身に寄り添い、真剣に対応させていただきますので、まずは法律事務所Zにご相談ください。